腎臓・免疫検査について説明します.
腎臓の障害と腎機能検査

- 日本で透析治療を受けている患者数は約35万人,慢性腎臓病(CKD)として継続的な治療を受けている患者数は約67万人とされています.しかし,CKDの推計患者数は実際には約1500万人(20歳以上の約7~8人に1人)とも言われています.健診や定期受診で自身の腎機能を知って既に日常生活で注意されている人もおられるでしょうが,全く気に留めていない人やCKDになっていることに気がつかない人も多くおられることでしょう.
- 私どもの基本メニューを受けられている方では,クレアチニンによる腎機能の程度と尿蛋白や尿中アルブミンによりCKD分類がされています.そこで,CKDと判定された人はこのメニューがお勧めです.CKDの原因については「糖尿病性腎症」,高血圧,脂質異常症,動脈硬化症,喫煙などが絡んだ「腎硬化症」などの生活習慣病だけではありません.古くから腎臓病の原因疾患とされてきた免疫が関係する「糸球体腎炎」も見逃せません.ここでは腎障害の状況を詳しく知ると同時に免疫的な原因が関与していないかも調べます.
- 腎臓の検査としては,シスタチンC,血清β2MG,尿中α1MG,尿中L型脂肪酸結合蛋白の4項目を検査します.
- 血清シスタチンCは,筋肉量,年齢ならびに性別の影響を受けず,早期腎機能障害のマーカーです.これを用いた計算式で,腎機能がさらに的確に評価されます.
- 血中β2-マイクログロブリンは糸球体障害の指標です.一方,尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)とα1-マイクログロブリン(α1MG)は尿細管障害の指標ですので,腎機能障害の原因が糸球体にあるのか尿細管が絡んでいるのかものかわかります.
免疫検査
- 免疫検査として,TSHレセプター抗体定量,TRAb定量,抗TPO抗体,抗GAD抗体,抗IA-2抗体,MMP-3,抗CCP抗体,C3,C4,Ig-G,IgA,IgMの12項目を測定します.
- TSHレセプター抗体定量,TRAb定量,抗TPO抗体は甲状腺障害のマーカーで,抗GAD抗体,抗IA-2抗体はⅠ型糖尿病のマーカーです.
- MMP-3,抗CCP抗体は関節リウマチのマーカーで,基本メニューのCRP定量,リウマトイド因子定量などとともに判定します.C3,C4は基本メニューの抗核抗体の情報も加えて膠原病マーカーの一部になり,Ig-G,Ig-A,Ig-Mの量は免疫情報の一部を与えます.
