お勧めの内分泌検査セットです.下記の22項目を測定し評価します.

- 脳の下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は,コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンの分泌を促進します.コルチゾールは糖・タンパク・脂質代謝,電解質,骨代謝,免疫にも関与しており,生命維持に必須なホルモンです.ストレスに敏感に反応するためストレスホルモンとも呼ばれています.
- 脳下垂体から分泌されるプロラクチンとは,妊娠中は乳腺を発育させ,出産後は乳汁分泌を促すホルモンですが,下垂体異常,無月経,不妊症,男性の性機能低下の診断にも役立ちます.
- 脳下垂体前葉から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)は,男性では睾丸から分泌される男性ホルモン(テストステロン)の分泌を,女性では女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します.性腺機能の異常や,月経異常や不妊症が疑われる場合に必須な検査です.テストステロンが低いと,活力と性機能が損なわれます.加齢に伴ってテストステロン値が低下するとLOH症候群(加齢性腺機能低下症)を発症し,うつ,性機能低下,認知機能低下,骨粗鬆症,心血管疾患,内臓脂肪の増加,インスリン抵抗性の悪化,HDL低下,LDL上昇を招き,メタボリック症候群の危険因子になります.また,デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)はテストステロンやエストロゲンをつくる材料であると同時に,老化プロセスを遅らせるため「若返りホルモン」とも呼ばれています.
- 脳下垂体前葉から分泌される成長ホルモン(GH)は,バランスのとれた成長を促すはたらきで,主に思春期に身体の成長と発達を促進するために重要ですが,成長ホルモンは骨の健康維持,筋肉の維持,体脂肪の調整,心血管の健康のためにも必須ですから大人になっても必要です.成長ホルモンは年齢とともに自然に減少しますが,適切な食事や運動,ストレス管理などを通じてその影響を軽減することができます.
- 甲状腺の働きや異常(亢進症と低下症)はFT4(遊離サイロキシン),FT3(遊離トリヨードサイロニン),TSH(甲状腺刺激ホルモン)を評価することで発見できます.
- PTHは骨の代謝(カルシウムとリン酸代謝)に関係し,カルシトニンやビタミンDとともに,血液中や体液中のカルシウム濃度を一定に保ちます.
- 循環血液量(体を流れる血液の量)や血漿の浸透圧を維持のために重要な役割をはたしているのが抗利尿ホルモン(バソプレン:AVP)です.
- 血圧をあげる病気や交感神経に亢進する病気ではアドレナリン(エピネフリン),ノルアドレナリン(ノルエピネフリン),ドーパミンの3種類(総称してカテコールアミン)を調べます.
- レニンは腎臓で分泌され,副腎で作られるアルドステロンの分泌を促し,ナトリウムの再吸収を促進して血液量を増やして血圧を上昇させます.その比(アルドステロン/レニン活性)は高血圧の原因を調べるのに使われます.
- 心不全や腎不全などの重症度や治療効果を判定するときにANP,BNPが測定されますが,BNPはANPに比較して変化率が大きいので心不全の指標としてより優れています.ここでは薬剤の影響が少ないNT-proBNPを測定します.
- C-ペプチド(CPR)は,インスリンの前駆物質であるプロインスリンが分解される際に生成される物質で,インスリンと同程度の割合で血液中に分泌されますが,インスリンと違い,ほとんどが分解されないまま血液中を循環します.C-ペプチドの測定はインスリンの分泌機能を評価するために非常に有用で,インスリン治療中でも膵臓の機能を確認することができます.